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2019-09-18

Secret Love フォームを変えたのは誰?

曲情報

作曲 Sammy Fain

作詞 Paul Francis Webster

1953年に公開されたミュージカルフィルム、Calamity Janeのために作曲されました。

作曲家の Sammy Fain はアメリカの作曲家です。慕情(Love is a Many-Splendored Thing)が代表曲です。他にはピーターパンや不思議な国のアリスなどのディズニー映画の曲も手掛けています。

分析

フォームがAABC形式の場合とABC形式の場合があります。その点については後半で詳しく解説するので、いったん置いておきましょう。

AABC形式で演奏されていることが多いので、分析はAABC形式として進めます。

Form = A(16) A(16) B(8) C(8)

AABCは変わったフォームですが、この曲のCセクションはAセクションと同じモチーフを使っているので、AABAの派生だと考えましょう。このように変わった形式の曲でもメロディーやモチーフを追っていくことで、一般的なフォームの変形だと解釈できる場合が多いです。

ブリッジの部分の転調はシンプルですがスマートです。このように、五度上に転調して、(元のキーから見て)四度のキーへ、そして元に戻るタイプの曲はありそうで意外と少ないですね。この逆で、四度、五度と転調して戻る、いわゆるサテンドールブリッジは非常に多く見かけますが。

ブリッジの一小節目はピヴォットコード、つまり二つの役割をもっています。ただ単に転調先のIIm7であるだけでなく、元のキーのVIm7でもあります。同様に五小節目はIIm7であると同時に直前のキーのIm7でもあります。細かい分析に見えますが、つまりどっちにも聞こえると言うことです。こういうところを押さえておくとインプロヴィゼーションの選択肢がグッと広がります。

フォームはAABCかABCか

映画内ではドリスデイが歌っているのはこの曲はAABCですので、こちらの形式がオリジナルということになります。一応、バックグラウンドとしてABCで使われている可能性があるので映画を通して観ましたが、それは確認できませんでした。映画では二回歌われ、それぞれこのようなフォームで演奏されています。(括弧内は楽器のみの演奏)

一回目

AABC (A)BC

二回目(フィナーレの一部として)

(AA)BC

一応、一回目の演奏2コーラス目がABC形式をとっていますが、間奏でこのように曲は省略されるのは非情によくあることなので、これが原因でミュージシャンABC形式で演奏するようになったとは言えません。

ではいったい、いつ誰がどのような目的でこの曲のフォームを変えて演奏しはじめたのでしょうか。私のリサーチする限りでは、一番古いもの1958年のAhmad Jamalによる演奏です。当時からすでに音楽界での影響力のある人物ですし、この演奏の入ったレコードを聴いた他のミュージシャンが同じフォームで演奏した、という考えは妥当ではないでしょうか。資料不足で古い音源の全てを聴いたわけではないので、そうだと断言はできませんが。もっと古いABC形式でのレコーディングを知っていたら教えていただけると幸いです。

さて、問題はなぜこのフォームに変えたかということですが、この曲は元のままだとやや48小節と長いということが一つ目の理由でしょう。AAの部分が長く、ここのコード進行は非常に地味なので、ソロを何コーラスも繰り返すとだらっとした雰囲気になりやすいです。

さらに、ABC形式で演奏した場合、ワンコーラスがちょうど32小節になります。おなじみの小節数ですね。8小節ごとに分けて考えるのが一般的ですので、16-8-8 ではなく8-8-8-8と考えてみましょう。フォームはABCDになり、AとBとCは同じモチーフを使っているのでAABA形式のヴァリエーションだと考えることができます。Byebye Black Bird のフォームと同じと考えると理解しやすいですね。

というわけで、最初のAを削ると、長さもちょうどいいしフォームもByebye Black  Birdっぽくて演奏しやすいから、というのが私なりの答えですが、納得いただけるでしょうか。

参考音源

Doris day – 映画 Calamity Jane (1953)

  • AABC形式。

Spike Jones and His City Slickers – Secret Love / I’m In The Mood For Love (1954)

  • AABC形式。

Donald Shirley – Tonal Expressions (1955)

  • AABC形式。

Frank Chacksfield And His Orchestra* – Hollywood Almanac (1957)

  • AABC形式。

Roger Williams – Songs Of The Fabulous Fifties (1957)

  • AABC形式。

Ahmad Jamal – Ahmad Jamal Trio: Volume IV (1958)

  • ABC形式。2コーラス目の終わり以降、毎コーラスインタールードを挟む。同じものをエンディングにも使用。

Maynard Ferguson And His Orchestra: Plays Jazz For Dancing (1959)

  • ABC形式。

Count Baise – Dance Along With Basie (1959)

  • AABC形式。

Oscar Peterson – The Trio (1973)

  • ABC形式。この曲にしては速いテンポでの演奏。

Dexter Gordon – Manhattan Symphonie (1977)

  • AABC形式。

Art Blakey & His Jazz Messengers -Get The Message (1966)

  • AABC形式。アップテンポでの演奏。テーマ後、ソロ交代時にインタールードあり。同じものをイントロとエンディングにも使用。

Brad mehldau – Art Of The Trio, Vol 1 (2001)

  • AABC形式。

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